弘法の井戸

弘法の井戸

現在も地域の人たちの手で大切に管理される井戸

その昔、高尾(こうの)のある農家に立ち寄り水を所望した僧がありました。留守番の老婆は快く返事をしましたが、なかなか水を運んで来てくれないため、旅僧は縁側でうとうとと寝てしまいました。老婆はずいぶんたってから水を運んで勧めましたが、僧は老婆に村の水場はどこかと尋ねると、老婆は村には谷川もないので、下の田原川で汲んでくるのだと答えたため、僧は老婆の親切に深く感激しました。
僧は老婆と世間話をしたのち厚くお礼を述べて立ち上がり、家の前の広場の片隅に錫杖で円を描き、ここを掘って村の井戸にするようにと言い残して山を降りました。仕事から帰って来た爺や息子は、老婆の熱心さにほだされて掘ってみると、水は湧かないと思いあきらめていたのにきれいな水が湧き出し、村人たちは喜びと驚きとで大騒ぎとなりました。
後に村人はこの旅の僧が弘法大師であったことを知り、この井戸を「弘法の井戸」と呼ぶようになったと伝えられています。
井戸は年中水をたたえ、水道が普及した現在も、地域の人たちの手で大切に管理されています。

TEL
住所 京都府綴喜郡宇治田原町高尾
定休日
アクセス 京阪宇治線「宇治」駅、JR奈良線「宇治」駅、または近鉄京都線「新田辺」駅から京都京阪バス(維中前、緑苑坂、工業団地行き)で「下町」下車、徒歩約30分(国道307号から下町交差点を北進、田原川を渡り山上へ)

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