お茶飲みますか?~日本茶のふるさとコラム~

2024.02.20

お茶飲みますか?~日本茶のふるさとコラム~

いきなりですが、みなさん、お茶はお好きですか?
どんなお茶を飲みますか?
「お茶」と一口に言っても、緑茶や紅茶、ウーロン茶など、様々な種類があります。
さらに、緑茶にも色々な種類があり、煎茶やかぶせ茶、玉露(ぎょくろ)、碾茶(てんちゃ)など、製法によって、その味も飲み方も変わります。

たとえば、玉露やかぶせ茶、碾茶は、日光を遮るために茶畑に覆いを被せます。
みなさんは、茶畑の写真で、畝(うね)が黒く覆われているシーンを見たことはありませんか?
あのシーンはまさに、日光を遮る覆いを被せているところなのです。
日光を遮ることで、苦みや渋みが少なく、旨みや甘みの豊かな茶葉になります。

碾茶も覆いを被せてつくるお茶ですが、そもそも「碾茶」って、あまり聞きなじみがないかもしれません。
でも、「抹茶(まっちゃ)」と聞くと、どんなお茶かイメージできるのではないでしょうか。
あの美しい緑色の粉末が抹茶です。抹茶は、碾茶の茶葉を石臼などで挽くことで粉末状に加工したものなのです。
ちなみに、「碾茶」の「碾」という漢字は、「石臼」とか、「すりつぶす」という意味なのだそうです。ほんとにそのまま、どストレートなネーミングですね。
どストレートなネーミングといえば、「かぶせ茶」も。覆いを被せるから、「かぶせ茶」。
なんとも端的な、わかりやすい名前ですが、こちらも聞いたことがない、という方もいらっしゃるかもしれません。
玉露よりも短い期間、覆いを被せているのが「かぶせ茶」です。お茶の苦さや渋さがちょっと苦手、という方にはとってもオススメなお茶の種類です。

紅茶やウーロン茶も、実は、緑茶と同じ「チャノキ」の葉っぱからつくられます。
茶葉の成分を酸化させることで、お茶の色も味も変わるのです。
途中で酸化をストップさせたものがウーロン茶、完全に酸化させたものが紅茶です。
同じチャノキの葉っぱなので、実は、日本でもウーロン茶や紅茶はつくられています。
とくに、日本の茶葉でつくられた紅茶は「和紅茶(わこうちゃ)」といって、最近ではスーパーやコンビニでも見かける機会が多くなってきました。
和紅茶は、海外の紅茶よりも茶葉本来の甘みを感じられるものが多く、料理にも合わせやすいのが特徴です。ストレートで茶葉の甘みを感じていただくのがオススメです。

■日本茶のふるさと「お茶の京都」

■日本茶のふるさと「お茶の京都」

日本茶の歴史は古く、なんと800年前まで遡ります。今でこそ、様々な種類のお茶を飲むことができますが、日本茶800年の歴史の中で、技術の革新や新たな製法が生み出され、その結果として、現在のようなお茶の楽しみ方のバリエーションがあります。
抹茶パフェや抹茶ジェラート、ほうじ茶ラテなどなど、およそ鎌倉時代には想像もつかなかったお茶の未来を今、楽しんでいるわけですね。

実は、現在のあの爽やかな緑色の煎茶(せんちゃ)という種類自体も、鎌倉時代からあったわけではなく、江戸時代に発明されたものです。
当時の煎茶は赤黒く、味も見た目も良いものではありませんでしたが、江戸時代中頃の1738年に、永谷宗円(ながたにそうえん)が茶葉を手もみして乾燥させる製法を考案し、煎茶の色・味・香りに革命をもたらしました。
「日本緑茶の祖」と呼ばれる永谷宗円の生家は、京都府宇治田原町にあり、土日祝日には、内部を見ることもできます。

永谷宗円生家

革新的な飛躍を遂げた煎茶。美しい色をした煎茶を前に、江戸時代の人々からは、「これは、おいしい!!」という感激の声が聞こえてきそうですが、
茶の種を手に握る鎌倉時代の人々からは、「これは、どうしたらいいんだ!?」というため息交じりの声が聞こえてきます。
それもそのはず、鎌倉時代に中国から茶の栽培方法が伝わりますが、茶の種を手にした宇治の人々は、種の蒔き方さえ分からず、困っていました。
そこに、馬に乗った明恵上人(みょうえしょうにん)が通りかかります。
この明恵上人は、中国から届いた茶の種を植えて、茶の栽培を始めた張本人。
困り果てた様子を見て、馬で畑の中に乗り入れ、「この馬のひづめの跡に種を蒔きなさい。」と教えたそうです。
それ以来、宇治にも茶の栽培方法が伝わり、「宇治茶」としての歴史がスタートするわけです。
そんな伝説を今に伝えるのが、京都府宇治市の萬福寺の総門前にある「駒蹄影園跡碑(こまのあしかげえんあとひ)」。

駒蹄影園跡碑

あくまでも伝説ですので、実際にそういうシーンがあったのかどうかはわかりませんが、それでも、中国から日本に茶の栽培方法が伝わったという、日本茶にとっては誕生日ともいえる大切な一日が確かにあったわけで、
800年前のその日がなければ、この「ほっ」と温かい吐息を生み出す、昔からの親友みたいな、あるいは家族みたいなこの飲み物は、きっとあり得なかったんだろうな、と思うと、お茶の旨みも一入(ひとしお)です。

ドラマティックなその現場は、800年の時を経て、おいしいお茶に出逢える「お茶の京都」と呼ばれるようになりました。
みなさんも、ぜひ、お気に入りのお茶、お気に入りの飲み方、楽しみ方を見つけてください!
そして、日本茶のふるさと「お茶の京都」にぜひ、来て、見て、味わってください。
お茶をおいしく感じるお気に入りのスポットがきっと見つかるはず。

執筆者:お茶の京都DMO編集長

お茶の京都DMO編集長